自民支持、49歳以下は1ケタ◇時事通信8月世論調査【解説委員室から】


世論調査の概要と衝撃の結果

2025年8月、時事通信が全国の18歳以上

2000人を対象に実施した最新の世論調査で、

自民党支持率は15.7%に続落し、

石破内閣での最低値を更新しました。

16%を下回るのは、岸田内閣時代の

2024年5月以来、1年3カ月ぶりです。

特に49歳以下の世代での支持率低下が

顕著で、18〜29歳で9.2%、

30歳代で4.8%、40歳代で6.3%と、

いずれも1割を切りました。

これまでの調査では見られなかった

現象であり、若者・中年層の政治離れが

深刻化していることを示しています。


若年層で自民党支持

低迷する理由

49歳以下で自民党支持が急落した背景には、

複数の要因が考えられます。

・経済的要因:正規雇用の増加、

 賃金の伸び悩み、物価高騰など、

 若年層の生活に直結する問題。

・政治不信: 政治スキャンダルや

 旧統一教会問題による政権への信頼低下。

・世代間格差: 年金や医療制度の優遇など、

 高齢者に有利な政策が多く、若年層に

 恩恵が少ない。

特に都市部の若者は

「自分たちの声が届かない」と感じており、

政治関心はあっても支持に結びつきにくい

傾向があります。


中年層の支持低迷と

都市部での傾向

30〜40代の中年層も、自民党からの支持が

大幅に減少しています。

30代は4.8%、40代は6.3%と、

いずれも1割未満です。

この世代では参政党や国民民主党への

支持が増えており、流れが顕著です。

地域別に見ると、東京23区や政令指定都市

含む「21大都市」で自民党支持率は13.8%に

急落しており、都市部での支持離れが

顕著です。

地方との世代間・地域間ギャップが

さらに広がっています。


高齢者層の自民党支持

世代間格差

70歳以上の高齢者層では自民党支持率が

29.2%と高水準を維持しています。

年金や医療制度における既得権益

長年政権を担ってきた安心感、

安定志向などが背景です。

若年層と高齢者層の支持率の差が

広がることで、政治的な世代間ギャップが

より鮮明になっています。


他党の支持率動向と政局の変化

自民党以外では、参政党が7.6%で

初めて2位に浮上し、国民民主党は6.8%で

3位、立憲民主党は5.5%で

4位に後退しました。

参政党は男性層での支持が高く、

国民民主党も同様の傾向です。

一方、女性層からの支持拡大が

課題として残っています。

若者層の支持離れは新興政党や中道系政党に

有利に働き、次期選挙での政局に

影響を与える可能性があります。


石破内閣の支持率と課題

内閣支持率は27.3%、不支持率は49.6%で、

発足以来一度も3割に届いておらず、

政権末期状態が続いています。

世代別では70歳以上が47.1%と唯一、

不支持を上回りました。49歳以下の

世代では1割台と低迷が続き、

内閣運営の難しさを示しています。


今後の日本政治に求められる

改革

今回の世論調査は、日本政治が変革の

必要性に直面していることを示しています。

若者・中年層の声を反映した政策、

政治の透明性向上、世代間公平性の

確保が急務です。

特に若年層の生活実感に沿った経済政策や

教育費・雇用安定策の強化が求められます。

これを怠れば、若者世代の政治離れが続き、

社会の分断は深刻化するでしょう。


まとめ

時事通信8月世論調査で明らかになった

49歳以下の自民党支持率1ケタは、

若年層・中年層の政治離れと世代間格差を

象徴しています。

高齢者層の厚い支持と都市部

若年層の急激な離反。今後の政局や選挙に

大きな影響を及ぼす可能性があります。

政治の未来を左右するのは、

若者世代の一票かもしれません。

各政党がこの世代の声をどのように

政策に反映させるかが、

日本政治の鍵となるでしょう。